近年、海外市場で「ジャパンデニム」という言葉が定着しつつあります。それに伴い、素材メーカー自身に向けられる視線が少しずつ変わってきたように感じます。品質や表情、価格といった要素に加え、その生地がどのような背景で生まれ、どのような思いで作られているのかが問われる場面が増えました。
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海外での対話を重ねる中で実感するのは、我々メーカーが自らの言葉で語れるかどうかの重要性です。スペックや数値だけでなく、工程の説明や産地との関係性まで含めて説明できるかどうかが、理解や共感につながっていきます。直接向き合うことは売るためというより、理解されるための行為だと感じています。
篠原テキスタイルもそうした対話の場に立つ中で、自社単体の特徴もさることながら、産地内のサプライチェーンや、工程同士の連携といった背景が評価されていると実感してきました。一社では成り立たない価値が産地としての厚みを生んでいます。
海外と向き合うことは決して容易ではありません。しかしそれは同時に、自らの立ち位置や産地の価値を見つめ直す機会でもあります。素材メーカーが世界と直接語る時代において、個々の挑戦を産地全体の価値へとつなげていけるかが、これからの産地に問われていると感じます。
(篠原テキスタイル社長 篠原由起)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
