繊維・ファッションビジネス業界で、OMO(オンラインとオフラインの融合)が加速している。繊研新聞社が行った「ECデータと運営」アンケートで105社から回答を得て、「ネットコミュニケーション特集」にまとめた。コロナ禍によって、消費者の購買行動が大きく変化した。
最も顕著なのが、スタッフコーディネート画像など販売員経由の売上高比率の伸びだ。感染拡大前の20年2月特集の時と比べ、上位16社の平均の売上高比率は15.2%から39.2%へと2倍以上に増えた。店舗営業の縮小が強いられた際に、販売員のデジタル上での活躍が飛躍的に増え、連動して購買の導線が変化したことが分かる。アプリ経由での売上高比率も、23.3%から36.8%へと伸長した。スマートフォンを通して、いつでもどこでも消費者とコミュニケーションし、購買を喚起する仕組み作りが進化している。
直近の半期でのEC増収企業の割合は約7割。前年同期は9割のため、勢いがやや落ちついた格好。22年は、店舗営業の正常化が進み、コロナ禍以前と同様に、ECの伸び率がやや鈍化していく可能性もある。その流れを見込み、店舗での接客などにデータを活用するリテールテックへの投資に力を入れる動きがある。
ECからの店舗在庫の見える化や取り置き、店舗からのEC在庫の引き当てなどは、先進企業で標準装備となりつつあり、広がる傾向にある。こうしたシステムの整備が進むことで、オンラインとオフラインがさらにシームレスにつながりそうだ。