16年春の新卒者を対象とした、経団連加盟企業など大手各社の面接や選考活動が、例年より4カ月遅れて8月1日に解禁となった。今月中に実質的な内定を出す大手が多いとみられ、大手の選考からもれた大学生や、夏休み明けに本格的に就職活動を始める専門学校生の獲得を狙い、FB(ファッションビジネス)業界では9月に二つの合同就職セミナーが開催される。
スプラウト社が運営するファッションアパレル業界専門の新卒サイト、ブランドキャリアジュニア主催の「ファッション・アパレル合同就職セミナー」は都内で9月4日、秋の合同セミナーを初めて開く。3月20日に開催したセミナーには例年の約2倍の31社が参加し、学生も1520人(前年比約19%増)が来場した。販売職を中心とした人材不足を背景に採用意欲の高いFB企業が多く、春だけでなく第2弾を希望する声を受け、初めての秋開催を決めた。
出展者は19社(8月5日現在)が決定している。参加するのは出店拡大中の企業、春・夏・秋など計画的に販売職を大量に採る企業、採用予定数が少なく大手や他社の新卒採用が一段落してから動く企業など。専門学校生中心に、500~700人の来場を目指す。
マイナビとMORIパーソネル・クリエイツは共同で運営する「FB就職セミナー」(「マイナビ2016」と共催)を9月19日、東京で開催する。業界特化型の新卒者向け合同企業説明会を夏や秋に開く例は珍しい中、販売職の採用難と売り手市場の強まりを背景に、12年から秋にも開催している。
今年については、春は3~4月に東京、名古屋、大阪で開催。経団連が広報活動の解禁を3月に遅らせる指針を出した影響で、出展企業数は全会場で過去最高だった。だが、個別企業や学内の説明会に学生が分散し、来場者は減少した。
6月下旬~7月初旬に3会場で開いた合同企業説明会は「会社説明会後に内々定を出し、承諾書の提出待ちだった企業が多く、出展が減少した」が、就活を続ける学生で東京は来場者が増えた。複数の内々定を得ていた学生の辞退者が増える7月、大手が本格的に選考を始める8月になると「採用計画割れの企業が増え、再び採用活動を始める」ため、秋のセミナーは15~20社の出展、300人の来場を見込んでいる。
秋のセミナーで各社が募集する職種は販売が中心ながら、営業や企画、総合職を採用する企業もある。7月に就職情報サービス大手が学生を対象に行った調査では、8割が「内々定の承諾書を出さず、就活を続ける」と回答したという。大手の採用活動の後ろ倒しの影響で、秋まで採用活動を続けるFB企業は今後も増える可能性が高く、採用戦線の混乱が続きそうだ。