セイコーエプソン 「モナリザ」国内生産 長野に新工場

2018/07/17 06:28 更新


 セイコーエプソンは、デジタル捺染機「モナリザ」の国内生産を開始する。従来は伊子会社のロブステリだけで製造していたが、両社の連携を進め、2年がかりで量産技術を確立した。日本製1号機の国内納品は8月の予定。秋には広丘事業所(長野県塩尻市)に160億円を投じ、デジタル捺染のテストラボを備えた新工場を建設する。

 国内生産を始めるのは、最新機種「モナリザ・エヴォ・トレ」。15年の国際繊維機械見本市・ITMAミラノで発表後、16年から欧州で販売している。エプソン製の最新プリントヘッド「プレジションコア」で、画質や生産性が大きく向上した。

 モナリザは03年にエプソン、ロブステリ、薬剤メーカーの伊フォルテックスの3社共同で開発し、高精細な表現や安定生産性が評価され、伊・コモを中心に多くの販売実績がある。一層のシナジーを狙ってエプソンは15年にフォルテックス、16年にロブステリを買収した。

 子会社化以降、エプソンによる量産化に着手したが、「必ずしも順調ではなかった」。技術者の交流を進め、「約2年間かけて両社のノウハウが融合し、ようやく当社での生産が実現した。技術が向上し、国内の顧客へのサポートも従来以上に手厚く行える」(桑田智彰P事業戦略推進部長)という。

 これまではロブステリが伊で小規模に生産していたが、エプソンによる日本での量産技術確立により、製品供給力を高め、伊と日本の2拠点から全世界に製品・サービスを広げる。

 広丘事業所には商業・産業用大型印刷機の試作・量産工場とデジタル捺染のテストラボを備えた新棟を建設し、日本での生産体制を確立する。プロモーションや設置、メンテナンス、コンサルティングなどのサービスも強化し、デジタル捺染の技術と製品をさらに進化させる。これを機に、アジア・オセアニア地域での販売も強化する。

国内生産する「モナリザ・エヴォ・トレ」。エプソンの量産技術によって製品供給力を高める



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事