政府 外国人技能実習制度の「特定技能1号」に繊維業の追加が決定 人権対策のさらなる徹底など課題

2024/03/29 11:45 更新


 外国人技能実習生の在留資格で、最長5年まで在留できる「特定技能1号」の対象に繊維業が加わる。政府が3月29日に特定技能の対象分野拡大などについて閣議決定した。4月から順次、施行される。繊維業界では工場などで労働力不足が深刻化する中、雇用可能期間が長くなる特定技能への追加への要望がかねて強かった。業界にとって、「念願がかなった」と言えるが、人権や他産業に人材を奪われないための対策など課題もある。

 特定技能の対象を従来の12分野から16分野に拡大する。繊維業は「分野」には加わらないが、従来の「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」から変更した「工業製品製造業」の「追加業種」に入る。衣料品の縫製のほか、紡織、染色などが対象。実習生が特定技能1号の資格を得るには「業務上必要な日本語能力水準」が求められ、技能水準と日本語能力に関する試験に合格することが基本条件となる。

 さらに、繊維業が特定技能実習生を受け入れる「追加要件」を設定、①「国際的な人権基準」の順守②勤怠管理の電子化③政府が企業経営者に対して要請している、取引適正化方針などの宣言「パートナーシップ構築宣言」の実施④給与の月給制とした。人権基準は経済産業省の有識者会議での方針に沿って、日本繊維産業連盟(繊産連)が22年7月にILO(国際労働機関)と共同で策定した「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」やGOTS(グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード)などの国際認証で、国際認証以外は検査機関などの監査を受けることも要件とする。

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