鎌倉の「えしかる屋」がイベント実施 商品で見せる〝ネイチャーポジティブ〟

2023/09/20 06:27 更新


国内外から服飾雑貨や日用品ブランドなど約15ブランドを集積した

 神奈川県鎌倉市にあるエシカル(倫理的な)商品のセレクトショップ「えしかる屋」(黒崎りえ店長)が、「ネイチャーポジティブ」をテーマに商品・ブランドを集積した期間限定イベントを実施している。

 「ネイチャーポジティブに関する書籍を読み、身近で幅広く参加できる概念だと、ピンと来た。企業活動で掲げられることが多いが、物を通じてこの概念を見せるのは、日本ではまだ誰もやっていないのでは」(えしかる屋プロデューサーの稲葉哲治さん)とイベント開催を決めた。海、山・森、動物を切り口に、自然再興を目指す活動から生まれた素材を使った商品や、生物多様性の維持・回復につながる商品などを扱う、国内外の約15ブランドを揃えた。

 「鎌倉という場所柄か、海に関わる商品・ブランドに関心が高い人が多い」(黒崎店長)と言い、よく売れるのがアサヒユウアスのサンゴを増やす活動から生まれた「海のマイボトル」。そのほか、磯焼け問題を伝えるために東北のウニのトゲをアクセサリーに使う「雲丹華」、壱岐島のアワビやカキ殻などで作るアクセサリー「キキリコ」なども、ストーリーに興味を持つ客が多い。

 焼却されていたオリーブの木を使いヨルダンで難民が作る食器「ミュート」、和歌山の丸編み技術と天然の機能素材であるヘンプに着目したメイド・イン・和歌山のTシャツ「KAZE」(ケイズ)もコンスタントに売れている。

メイド・イン・和歌山の「ケイズ」のヘンプ混Tシャツ

 ネイチャーポジティブというまだ耳慣れない概念に関心を持った人の中には、イベントのきっかけになった書籍『自然再生をビジネスに活かすネイチャーポジティブ』(日刊工業新聞社)を手に取り購入する人も多いという。イベントは9月24日まで。

《ネイチャーポジティブとは》自然再興、自然回復、自然再生などと訳される。自然や生物多様性の損失を食い止め、むしろ環境にプラスな方向へ導くことを目指す。22年12月の国連生物多様性条約第15回締約国会議で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、30年までに「生物多様性の損失を止め、反転させるための緊急の行動をとる」ことが示された。



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