ファーイースト(福岡県北九州市、川俣大輔社長)が企画・製造する「ファーイーストファブリック」(FEF)は、中古のきものをシャツなどにリメイクしたブランドだ。約3年前にローンチし、EC販路をメインに販売している。きものリメイクは珍しくないが、ウェブマーケティングを駆使している点が今っぽい。実際の商品に触れる方が良さは伝わりやすいため、今後はオフラインでの展開も徐々に強めていく。
(永松浩介)
同社の川俣保美会長が、アロハシャツの起源はきものと知り、古物市場で段ボールいっぱいの反物を買ってきたことがきっかけ。簡単に出来ると思ったが、生産委託先のつてもなく、縫える人を探すところから始めた。幸運にも地元でレディスのスーツなどを縫っている工場に出合い、生産をスタート。現在は、国内とベトナムの工場に生産委託している。数量は半々ずつだが、値段は同じにしている。
個人の持ち込みもの持ち込みも
生地の仕入れは、提携している廃品回収業者や競り市などから。個人の持ち込みにも対応しており、アロハシャツなら2万5000円(半袖)で仕立てる。FEFの特徴である柄選びは、社内や職人などと話し合いながら決めるが、「どれが売れるといった傾向はない」(新島栄晃専務)。ただ、大島紬などはシックで上品、名前も通っているため売れやすいという。逆に、「もっと変わった柄が欲しいという声も少なくない」とか。価格は2万円前後が中心だ。
メインの購入者は50~70代。「リビングに飾り、眺めながらお酒を飲む」と言うユーザーの声も。生地を部分使いしたパーカなど、買いやすい価格の商品も用意し、若い層も一定掘り起こしている。長袖シャツが期待したほど伸びなかったなど、まだまだ手探り状態だが、「思っていたより売れている、と言うのが正直なところ」と新島専務。顧客リストは約1000人を数え、リピート率も高い。
欧州市場開拓を狙う
通販ページへの集客は、ウェブマーケティングに詳しい新島さんがSNS広告を運用。販売は新島さんの会社、プレイングハウジング(福岡県福岡市)が担う。自前のECとヤフーショッピングで販売している。直接商品に触れてもらった方が反応はいいため、今後はオフラインでの販売機会を増やす。本社の1階に設けたショールームでも購入できる。また、6月8日から2週間、福岡三越のメンズフロアで期間限定店を開いており、会期中の週末は受注イベントも行っている。
現在はシャツが主力だが、季節が限定されるためアイテムも広げる。4月末には大手ブランドのパタンナーに依頼したジャケットも発売。秋にはジレやジャンパーなどの発売も検討しており、シャツだけに頼らないアイテム構成にしていく。国内市場での浸透にめどがついた段階で、海外市場の開拓も検討。アジアではなく、欧州市場を見据える。