繊研新聞社の「21年度ファッショングッズ企業業績調査」(21年6月~22年5月の決算をベースにアンケート調査)によると、長引く新型コロナウイルス感染拡大などが響いて想定ほど業績が回復せず、売り上げの伸びも19年度にまだ及ばなかった。22年夏も感染が広がったため、今後徐々に復調するとの見方が広がっている。
(武田学)
21年度のファッショングッズ企業の売上高はメーカー・卸、小売りともに増収に転じた企業が20年度よりも増えた。しかし、19年度の水準に戻ったところは少なく、回復半ばが大勢だ。20年度よりも売り上げを減らしたところも少なくなかった。百貨店を中心に卸販路が厳しいのが実情で、オンライン、実店舗を問わずDtoC(メーカー直販)を強化する動きが活発になっている。
要因重なり遅い戻り
昨年は年末にかけてコロナ禍が落ち着き復調ムードだったものの、今年は感染の増減が激しく、「7月に入り再び増加傾向となり、市況復調は不透明となった感がある」(チヨダ)との見方が多い。「19年度のライフスタイルに戻ることは考えられない」(アジオカ)、「コロナ禍前と比べて、顧客の購買志向として、デザインや品質に求められるものが明らかに異なってくると予測している」(サマンサタバサジャパンリミテッド)など消費変化の指摘が目立つ。
外出抑制は緩んできたが、海外旅行を含め外出や旅行がまだコロナ禍前の水準まで戻っていないため、靴やバッグなどはトラベル需要を中心に厳しい。ブライダルジュエリーなどは婚姻数の減少も重なり苦戦が続いている。
各社とも既存商品の再強化に加え、インテリアや自宅周りでの〝おうち時間〟やキャンプ、ゴルフ関連のほか、カジュアル化して復調するビジネス商品など、変化するライフスタイルに応える企画開発が増えている。20年度に目立ったマスクなどコロナ対応商品は減った。
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