【ファッションとサステイナビリティー】旭化成アドバンス 「ベンベルグ」を使い油吸着材

2020/11/30 05:00 更新


合繊を使った従来品と差別化し、海洋事故などに対応する

 旭化成アドバンスはグループ素材を活用し、サステイナブルを切り口にした資材の新規用途を開拓する。このほど、キュプラ「ベンベルグ」を使った油吸着材「B―Sweeper」を開発、従来なかった生分解性製品として機械清掃、海洋事故処置などの用途に訴求していく。

 同社は以前から業務用の油吸着材「ルックリン」を事業展開し、安定している。一方でルックリンはポリプロピレン(PP)が原料で、同じPP製の他社品との差別化が難しい上、サステイナビリティーに対応した新商品も求められていた。

 そこで着目したのが、グループのオンリーワン素材であるベンベルグだ。ベンベルグは綿花の種子の周りの産毛(コットンリンター)を原料にする。シルクのような上品な光沢や高い吸放湿性を持ち、婦人服や高級裏地、インナーなどに使われている。

 GRS認証や生分解性認証を取得し、製造時の使用電力の4割を再生可能エネルギーでまかなうなど最近はサステイナブル素材として訴求。国内外で関心が高まっており、これを資材向けにも広げる狙い。

 ベンベルグの油吸着材を商品化するため、技術面やコスト面の課題もクリア。油は吸うが水は吸わない特殊な加工を施し、厚みのあるシートを製造する方法も工夫。関連特許や国土交通省の認証も取得する。工場や自動車整備など陸上用途向けを年内に販売開始し、続いて来春に海洋・河川向けを売り出す。

(繊研新聞本紙20年11月25日付)

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