香川県・宇多津町発のアウトドアブランド「フィンチ」(Fin-ch)が人気だ。藤田元樹さんが趣味の釣りで世界中を旅する中で、「あったらいいのに」と感じたものをアパレル中心に具体化。ECだけでなく、SNSや日本全国に出店する期間限定店でもファンを増やし、スタートして10年になるが、売り上げを伸ばし続けている。今後も「ブランドとして好きなことをもっと突き詰めていく」とともに、販路も広げていきたい考えだ。
(小畔能貴)
自分が欲しいものを
同ブランドは15年にECからスタート。若い頃は釣りで活躍し、大手メーカーとプロスタッフ契約したこともある藤田さんが、自身が欲しいアパレルや服飾雑貨、ギアを企画している。大学を卒業し、対日が主力の香港のアパレル商社に勤務していた経験を生かし、生産ネットワークを構築して商品化を実現した。
アパレルは伸縮素材を活用するなど、全てストレスフリーが念頭にある。「海外で釣りをする移動のため、飛行機に40時間ぐらい乗ることもある」ことから、長時間着ても疲れない素材を使っている。

機能性を考慮しながら欲しい色やデザインを採用し、ブランドらしさも発揮。商品によっては、台湾の企業と開発したオリジナル素材も活用する。こうして生み出したアイテムの中には年間で約1000着売れるヒット商品も複数ある。

釣り用のロッドやルアーのほか、バッグ、帽子、シューズ類などギアや服飾雑貨もオリジナル商品が豊富にある。中に入れたものを出し入れしやすい大容量のスリーウェーバッグ(本体1万7800円)、「旅するばっかん」と名付け、シンプルな機能とデザインでどこにでも持って行けるようにしたバッカン(4980円)など、〝欲しい〟を生かしたユニークな商品が揃う。
釣りのためにアマゾン、オーストラリア、ロシア、モンゴル、タイ、マレーシアなどを旅し、ブランド立ち上げからこれまで500アイテム以上のオリジナル商品を開発してきた。「世界中を旅しないと商品開発も出来なくなると思う」と話すように、今も時間を作って定期的に釣行している。
コロナ禍機に全国へ
宇多津町に常設店があり、県外からも多くの来店がある。藤田さんは実は宇多津のレディスセレクト店「アンシャンテ」の創業者の息子で、現在は代表も務めている。大型の路面店を運営していて、その中にフィンチの常設店がある。婦人服専門店の2代目が、DtoC(消費者直販)ブランドを立ち上げ、元気を見せている事例としても興味深い。
常設店の客層は40、50代が多い。アンシャンテで提案する服や雑貨を含め、家族で来店して楽しむ人もいる。フィンチは空き店舗が増えたコロナ禍をきっかけに、期間限定店を開始し、今では年間10~15回開催するようになった。北海道から沖縄まで全国主要都市で実現している。
ブランド売り上げに占めるEC化率は約8割。期間限定店が好評で、その売り上げも増加している。卸売りは立ち上げからほとんどしていない。「あえてしなかったことがコアなファン作りにもつながったのでは」と振り返る。
毎年20~30%の成長をしてきて、ファン作りもある程度進んだため、今後は卸販売も視野に入れて動きたい考えだ。ECでアジア圏のユーザーもいることから、「期間限定店を海外でもやってみたい」と話す。