クリーク・アンド・リバー(C&R、東京)のグループ会社、forGIFT(フォーギフト、東京)は、C&Rのゲーム3D・CG制作技術を生かし、アパレル業界に向けて3D・CGサンプル制作サービス「sture」(ストゥーラ)の提供を始めた。サンプル制作の請負にとどまらず、3D・CG活用の戦略立案から支援し、アパレル企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)をともに進めるサービスだ。まず、3D・CGを利用した企画からサンプル作成までのプロセスのコスト・時間削減を第1フェーズの重点とする。既に複数の案件が動き始め、その他の商談も進んでいる。
ストゥーラは、制作依頼を受けるとその用途を徹底してヒアリングする。今後、どこまで活用を広げるか、中長期の計画策定も支援する。小さく始めて確実に効果を上げ、削減できた経費を「攻めのプロモーションに投入する」(白井崇文フォーギフト社長)発想が重要という。
まず、デザイン・設計プロセスの実サンプル制作の削減、デザイナー・パタンナーのコミュニケーション支援に活用し、時間・コストを削減する。限られたブランド・型数で始めて、着実に広げることが重要だ。販売・管理費の数値計画を持つことがカギになる。オンライン展示会などBtoB(企業間取引)向けの採寸・撮影業務効率化も支援する。コスト削減が進めば活用するブランドが増え、3D・CG市場が広がり、これを利用するプラットフォームやオンライン展示会ツールも広がるとみる。
第2フェーズでは、中長期計画に沿いブランドを拡大し、BtoC(企業対消費者取引)向け事業への活用を始める。ECへの活用はより早い段階で始まる可能性もある。受注につなげるUI(ユーザーインターフェイス)・機能の検討も支援する。注目が集まるメタバース(仮想空間)やNFT(非代替性トークン)への活用が第3フェーズだ。「いずれやるべきことだが、販売・管理費の数値計画を踏まえて3D・CGを活用し、着実にステップを踏むべき」ともいう。
ただし、3D・CGでブランドのテイストを出すには、アパレル企業との意識のすり合わせが重要だ。フォーギフトは、ブランドのテイストを構成するメタデータをサービスの提供を通じて蓄積していく。利用ブランドの拡大やメタデータ蓄積で、誰でも3D・CGを活用できる環境づくりが進むとみている。
ストゥーラは、C&Rのゲーム開発スタジオの参画が大きな強みだ。そのスタッフ850人のうち100人が3D・CG制作担当。スピードが武器だが、フォーギフトの自社ブランドやOEM(相手先ブランドによる生産)を手掛けた経験・ノウハウがあるから、3D・CG活用戦略コンサルティングも可能になる。フォーギフトはC&Rグループ入りを機に、20代からアパレルに関わり、抱いてきたサプライチェーン改革への白井社長自身の思いを実現する取り組みに着手した。