震災から5年、被災地の若手経営者㊥

2016/03/16 13:04 更新


仙台市のアゾット 他地域との連携が財産

手刷りのTシャツ作り貫く

 仙台市でプリント主力のTシャツ製造会社、アゾットを経営する相澤謙市社長(46)は「震災でつらいことも多かったが、関西など他地域の人たちと生産のネットワークが作れたことは大きな財産になった」と前向きだ。


協力得て信用保

 創業10年を迎えた11年、東日本大震災で仙台市郊外の旧工場は全壊してしまった。プリント工場は最盛期を迎えており、5万枚の仕掛かり品があった。技術指導を受けていた京都の染工場に相澤社長自らが協力を要請するなど納期を死守するため各地を走り回った。「協力してもらったおかげで取引先への信用が守れ、その後も受注が途切れることなく生産できた」


日本全体が地元

 現在も京都をはじめ、大阪や滋賀、岐阜、名古屋とも協力体制は継続している。「地元の仙台も大好きだが、日本全体が地元みたいなもの。西日本などに何かあったら、今度は自分たちが助ける番」という。

 仙台の新工場は震災から4カ月後に移転再開し、当時、震災復興イベントのTシャツ製作などの特需にも対応。震災を機に、本部、製造、デザインなどそれぞれの部門を分社化し、さらなる成長を目指した。手作業による水性シルクスクリーンを中心にOEM(相手先ブランドによる生産)のほか、企業向けやイベントのTシャツを生産し、今も業績は右肩上がりだ。「インクジェットプリントでは表現できない手刷りの良さを地道に伝えていきたい」考えだ。

 被災地の製造業の連携にも力を入れ、福島県南相馬市の縫製工場などと組んでTシャツも生産する。「東北で人材育成や技術継承などに尽力する異業種との人脈づくりも進め、協力し合って世界に発信するのが理想」。笑顔で相澤社長は話す。

「他地域との生産ネットワークが作れたことは大きな力になる」と相澤社長



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事