老舗ハイブランドの現在地 「テセウスの船」と「不易流行」

2025/11/18 14:00 更新有料会員限定NEW!


ダリオ・ヴィターレによる新生「ヴェルサーチェ」

 パリやミラノの26年春夏ファッションウィークでは、老舗ブランドのクリエイティブディレクターの交代が相次いだ。それは単なる人選にとどまらず、ブランドの方向性やデザイン哲学、消費者や市場の認識に大きな影響を及ぼす。本稿では、この変化を「テセウスの船」と「不易流行」の視点から考え、ブランドの同一性と変容の関係を考察する。

(ファッションカタリスト 小宮班誌)

鍵となる三層構造

 テセウスの船とは、航海のたびに朽ちた部材を取り替え続けた船が、全ての部材を入れ替えた後でも同一の船といえるか、という哲学的な問いである。ブランドも同じである。デザイナーや素材、形状、広告表現が変わっても、ブランドとしての同一性は保たれる。その鍵となるのが不易流行に基づく三層構造だ。理念の不変性(不易)、象徴意匠の継承、再文脈化による革新(流行)の三つが重なり合うことで、ブランドは変化の中でも自らの個性を保つ。

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