RBG、KENZOそして女性たちに捧ぐ(宇佐美浩子)

2020/10/12 06:00 更新


当コラム100回目を祝し、『映画が魅せる「∞」の夢の旅』をテーマに紹介した1作『RBG  最強の85才』。

そのヒロインこと、女性として、かつまた最高齢の連邦最高裁判事として、さまざまな偉業を成し遂げられたルース・ベイダー・ギンズバーグ女史が9月18日、87年の人生に幕を閉じた。

彼女をはじめ、歴史上に名を残す偉大な女性たちは世界中に多々おいでになる。

たとえば下記画像から連想する女性もまた、そうした一人。

フランスの国民的ヒロイン、ジャンヌ・ダルク。

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衣装をまとい、スモークの演出と共に登場したアートなカクテル「Revolution」を目にした瞬間、天空のRBGとイメージが重なり、心ひそかに献杯したく思った。

ちなみに、こちらは今春オープンしたホテル「mesm Tokyo, Autograph Collection」内にある、アーティストのアトリエ的発想が感動を呼ぶミクソロジーバー「Whisk」のシグネチャーカクテルとして話題の一品。著名な絵画がモチーフとなった18種類の独創的カクテルは、見た目も味わいも忘れ得ぬ思い出となるに違いない。

というわけで10月最初の「CINEMATIC JOURNEY」は、「RBG、KENZOそして女性たちに捧ぐ」をテーマに旅します。


監督・撮影は写真家として著名なホンマタカシ。そして出演は世界的に活躍する妹島和世。

このなんとも豪華な顔ぶれの一作『建築と時間と妹島和世』が、現在公開中だ。


「アートエンターテインメントと先端デザイン」

この時代のキーワードとも言える二つの領域を、ボーダーレスに横断しながら知識や技術を身につける、という大阪芸術大学アートサイエンス学科。

その新校舎の設計と建築を手掛けた妹島さんの3年6カ月を追ったドキュメンタリーは、構想から完成までのプロセスを垣間見ることができ、かつまた「ファッションを楽しむ女性」という一面も…

ちなみにホンマ監督と妹島さんは90年代に出会い、今日に至るまで、数々の妹島建築を撮影しているとのこと。いわばチーム力が本作に結実!とも言える1作。


『建築と時間と妹島和世』

ユーロスペースほか全国順次公開中 

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「RBG、KENZOそして女性たちに捧ぐ」をテーマに旅する、今回の「CINEMATIC JOURNEY」。

続いて向かう先は、江戸時代を舞台に女料理人の情熱と友情が紡ぐ『みをつくし料理帖』


「角川春樹最後の監督作品」というコピーと共に、ベストセラー時代小説初の映画化となったん本作に集結した顔ぶれの豪華さに、プロデューサーとして、また監督として築いてきた映画界におけるキャリアの一端を目の当たりにする。


たとえば――

☑『犬神家の一族』(角川映画第一弾)金田一耕助役の石坂浩二=ヒロインが働く蕎麦処の主人役。

☑『野生の証明』『セーラー服と機関銃』ほか角川映画から誕生した女優、薬師丸ひろ子=蕎麦屋の常連客役。

☑『スローなブギにしてくれ』で映画初主演を果たした浅野温子=ヒロインの暮らす長屋の隣人役。

その他まだまだ続く出演者リストに名を連ねる名優たち。

彼らに加え、『時をかける少女』の主題歌を作詞・作曲&歌唱もした松任谷由美が、本作でも主題歌の作詞・作曲を手掛けている。

さて、そんなオールスターと共に完成した本作とは?


姉妹のように幼少時代過ごした幼なじみの澪と野江。大洪水に襲われた故郷、大阪で生き別れとなり、両親を失った澪は引き取られ、やがて江戸・神田の蕎麦処「つる家」の料理人として働く。

一方の野江は、吉原で頂点を極める「あさひ太夫」としての人生を送っていた。

幼き日に出会った易者いわく、澪は「雲外蒼天」の雲、野江は「旭日昇天」のお日様。

その言葉のごとく、各々の人生を歩む2人に、再会の日はやがて訪れることとなる。

本作のキーワード「食は人の天なり。」

澪の渾身の力作「とろとろ茶碗蒸し」(上記画像)がエンジェルとなって...


『みをつくし料理帖』

10月16日(金)より全国公開

配給:東映

Ⓒ2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会


「RBG、KENZOそして女性たちに捧ぐ」がテーマの今回の「CINEMATIC JOURNEY」。

ゴールに訪れたいのは、ややヴィンテージ感あふれるシネマにまつわる話題。

今回のテーマにも掲げた「KENZO」の創設者で、残念ながら今月4日、パリにて永眠されたデザイナー、高田賢三が原案・企画・監督を務め、1981年に公開した映画『夢・夢のあと』をご存じの方は、どれほどおいでだろうか?

彼らしいテイストのファンタジー・ラブ・ロマンスが魅力の本作。

そのストーリーをより一層ファンタジックな気分に演出する音楽を担当したのは、アメリカのスーパーロックグループ「ジャーニー」だった。

実は当コラムのネーミングの由来にもなっているだけあり、筆者は今なおサウンドトラックを大切に保管している。

ともあれ、そんな賢三さんが故郷、姫路でファッションショーを開催した際、ラジオ番組用取材に出向いた思い出がある。

夜の姫路城を背景に行われた幻想的なイメージは、今月よりスタートした「ホテル椿山荘東京」の「東京雲海&千の光のライトアップ」と、相通じる思いを感じる。

日本最大級の霧の庭園演出と、1000灯のLED投光器による三重塔や樹木、滝などのライトアップ!

それは世界を舞台に活躍した日本を代表するデザイナーとなった高田賢三さんが抱かれていたであろう、愛する故郷へ捧げる思いと同様に、「いつの時代も、その時代が必要とするオアシスであり続けたい」という、当ホテルの願いに似ている。


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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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