昨秋、渋谷シネクイントにて開催された「PARCO音楽映画祭」。感性のある若い世代にも伝えたい音楽映画をテーマに、音楽・映画・ファッションなど、パルコの視点でセレクトした作品の中には、当コラムでも紹介した細野晴臣の『SAYONARA AMERICA』 、また懐かしき音楽映画の名作『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、バラエティに富んだアーティストの顔ぶれとサウンドに、各世代それぞれの感動体験を得たことと思う。
中でも、先行上映されたデヴィッド・ボウイ財団初となる公式認定ドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』の注目度は熱く、とりわけ見逃した人にとっては、今春の劇場公開が待ち望まれたはず。
そして遂に、待望の作品が劇場公開になった。そこで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は、「デヴィッド・ボウイ×ジャパンNOW」をテーマに、巡りたく。
メインビジュアルとして採用されている上記の衣装は、まさに「ボウイと言えば!」的アイコニックなモードとして有名な、山本寛斎によるジャンプスーツ「トーキョーポップ(KABUKI)」だ。
一昨年の春、当コラムでも紹介した展覧会『LOUIS VUITTON &』にて、目にした読者もおいでかと。
思えば山本寛斎のみならず、親日家としても知られる彼と日本文化。そして日本のアーティストたちとの交流は有名だ。
中でも1972年にロンドンで出会い、彼の撮影を多く手がけ、生涯にわたる友人の一人と言っても過言ではない写真家、鋤田正義氏。
気づけばすでに10年以上前になる2012年晩夏。東京のポール・スミス・スペースギャラリーで開催された「BOWIE X SUKITA Speed of Life」にて、鋤田氏と対面し、わずかながらもボウイの素顔に間接的に触れた記憶がある。
京都へもしばしば同行したことがあるという氏の思い出の断片。また大島渚監督の『戦場のメリー・クリスマス』で見せた名演。
総じて思うに、日本の人々との交流を通じて芽生えた日本文化への愛だったのではないかなと…。かつて彼の大ファンと自称する友人から耳にした、ボウイの名言を思い出した。
「僕は日本に人間を見に来る。神社などは見ない」
間接的とはいえ、納得のいくコメントだ。
さて、本題の映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』。本作には、なぜ彼がカリスマと呼ばれるアーティストなのかというヒントが散りばめられている。
もしかすると『地球に落ちてきた男』(76)という映画タイトル同様、彼の眼差しの先にあったのは、「今、私たちが向き合っている地球の現状だったのかもしれない?」と。
たとえば、男性とメイクをはじめとするジェンダーレスなファッション、とりわけ昨今のLGBTに対する進取の精神、また単にアートに「触れる」のではなく「挑む」姿勢に、真のアーティスト魂を目の当たりにするに違いない。
『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』
IMAX®️ / Dolby Atmos 同時公開中
配給:パルコ ユニバーサル映画
ⓒ2022 STARMAN PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
ここで、少しばかり本作公開記念ポップアップストアなどコラボ企画に関してのご紹介を。
☑公式Pop-up Store by PGSが4月9日(日)まで、渋谷パルコ3F Pop-up Spaceにてオープン中。スペシャルな企画として、鋤田正義氏作品の展示限定販売や、世界中から集められた公式商品は必見。
☑公式グッズのロングTシャツやコーチジャケット、缶バッチなども実店舗として販売中(下記画像)。
さらに、ヒステリックグラマーとのコラボアイテムも本作公開(3月24日)と同時に発売になったばかり。
本作鑑賞のビフォー&アフターで、またコレクターズアイテムとしてもワクワク度アップな出会いが待ちかねている!
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中