暑気払いなどを名目に集う、大人の夏時間を過ごすこの頃。
One&Onlyな2015年の夏も、まだまだ真っ盛り!
なのですが、ブランド系ショーウィンドーは熱帯夜を待たずして、早々と秋冬コーデが完了していたような…
すると毎度思い出すのが、学生時代の消えゆく記憶として残っている、「真夏に、ショーウィンドーに飾られた毛皮のコートを目にし…」といった風な英文学の一節。
長~い休暇の終わりに、大あわてで宿題をこなしたあの夏の悪夢もまた、今となっては懐かしい限り。
さて、新作が発表される度に、話題に上るフランス映画界きっての監督フランソワ・オゾン。「彼は秘密の女ともだち」もまた、ザワめき後のスッキリ感的余韻が心地よい一作。
タイトルからしてなんとなく、ご想像がついた方も多々おいでかと思われるのだが、ひとまず物語の概略をご紹介。
最愛の妻亡き後、自身の内なる声に正直に生きる道を選ぶ夫(ロマン・デュリス)と、親友の喪失感に打ちひしがれるクレア(アナイス・ドゥムースティエ)。彼らがシェアすることとなる、新鮮で純粋、けれど密やかなる交流を描いた本作は、エンディングに向かい、輝きが増していく二人の姿に、観客もまた生きることの楽しさを見出していくような人生賛歌と称すべきストーリー。
ちなみに、「構想約20年という監督の夢の結実である1作」と知ってから観賞するか、また鑑賞後に知るか、いずれにしても存分に発揮されたオゾンイズムを実感することに違いない。
なお、「ずっと女性を演じてみたかった」と語るデュリスに、「僕に最も影響を与えた役」と言わしめ、離れ難くなってしまったほど魅了することとなった今作。
その役作りに共に挑んだ衣装やメイクアップの最強チームプレイの素晴らしさはもとより、ヒールを履いた彼の脚線美には、オンナの私もドキッとするほど、しなやか!
「東ベルリンから来た女」の監督、クリスティアン・ベッツォルトが再び同一の主演の2人を迎え、チーム再結成作となった「あの日のように抱きしめて」。
本作は、ある女性の真実と偽りのボーダーラインすれすれを、戦後のドイツを舞台に展開する、エンディングまで気を抜けないスリリングな巧妙さが秀逸な1作。
収容所から生還した、かつて女性声楽家として活躍した妻(ニーナ・ホス)が、愛しあったはずの夫(ロナルト・ツェアフェルト)との絆に託す夢。曇ってしまった心の瞳で、言葉少なに表情で語る心理描写。再会の喜びを分かち合えない現実。時に苦しくも切ない日々の後に訪れる、運命の日に待ち受けているものとは?
物語に一層の甘美さを添え、素晴らしいハーモニーを奏でる音楽「スピーク・ロウ」のメロディーと歌声が鑑賞後も、耳に優しくこだまする。
続いてご紹介する「オンナたちの美しき秘め事」は、ヒロインの年齢がかなり若いのだが、ひょっとすると精神年齢はワタシよりしっかり者かもしれない?
そんな愛しきイタリアンシネマ、「夏をゆく人々」。
2014年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した本作は、イタリア・トスカーナ州周辺の自然豊かな土地で、昔ながらの方法で養蜂を営む一家が主人公の、ある夏の物語。
語り手を担う4人姉妹の長女、ジェルソミーナ。父から直々に伝授された養蜂技術と知識は、ティーンエイジャーにも関わらず、もはや父を上回る勢い。そんな彼女の心象風景をも重ね合わせ、独特なタッチでつづられていく。
エトルリアの遺跡が多々現存する地域を舞台にしていることもあり、ノスタルジックな霧のベールに包まれたような印象が、物語に登場するTV番組「ふしぎの国」の司会者に扮するモニカ・ベルッチのたたずまいと、相乗効果を発揮している。
ところで、ハチミツが登場するシネマを鑑賞していると、いつしか頭の中はハニーテイストで、いっぱいになってしまう。
たとえば、この10月1日に日本再上陸となる、リップバームが象徴的なアメリカ生まれのナチュラル・ビューティケアブランド「バーツビーズ」、また日本の歴史ある養蜂園のハチミツを使用した美容アイテムのブランド「HACCI」…などなど。
そしてさらに昨今では、その希少性と多様な効果効能などにより、注目度がアップしているニュージーランド生まれのマヌカハニー。
中でも創業300年以上の老舗養蜂家により、ニュージーランド国立自然公園で自生するマヌカを採取して作り上げるという「ヴェーダヴィ マヌカハニー」は、5段階のアクティブレベルで構成されているので、体調などに合わせてレベルを選べるのもウレシイ。
夏疲れのウェルネスサポーターとして有効活用してみては。
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中