「永遠の輝き」という名のバトン!?(宇佐美浩子)

2017/09/22 20:40 更新


街中に名画座という名の映画館を見かけたりする。ノスタルジックな響きが、なんともイイ感じ!

さて名画という言葉から連想するのは永遠に輝きを失わない映画、絵画、さらには芸術全般…と、果てしなく続く連想ゲームと化してしまう。

そんな連想ゲームの世界に迷い込んでしまうかのような展覧会フランス人間国宝展が、上野公園内に佇む東京国立博物館表慶館にて開催中だ。(~11月26日)

ロラン・ダラスプ/金銀細工 ©Philippe Chancel

「メートル・ダール(Maître d’Art)」(日本の通称「人間国宝」=重要無形文化財保持者)の認定を受けた13人の伝統工芸作家と、次期「メートル・ダール」候補とされる2人の作家による約230件に及ぶ展示作品。

中にはソフィア・コッポラ監督作「マリー・アントワネット」や、ケネス・ブラナー監督作「シンデレラ」などのシネマにも作品を提供している、メートル・ダール史上最年少(38歳)で認定されたシルヴァン・ル・グエンの扇も並ぶ。

展示空間としてのみならず、明治末期の洋風建築を代表する日本初本格的美術館としての風格は、いつ訪れても感動する。

そこで今回の「CINEMATIC JOURNEY」のテーマは、「『永遠の輝き』という名のバトン!?」

まずは永遠の輝きを誇る名作『青いパパイヤの香り』のトラン・アン・ユン監督の新作『エタニティ 永遠の花たちへ』からスタート!

着用しているイヤリングがショーメ

本作について知る機会となったのは、1780年創業のフランスのジュエリー・メゾン「ショーメ」が昨年発行した新しい年刊誌「ランデブー」。

❝ショーメは、トラン・アン・ユン監督の映画『Éternité』にジュエリーのプライベートコレクションとアーカイブを提供します❞

と記された特集ページには3人のヒロイン、オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョの映画にまつわるQ&Aが!

三人三様、個性あふれる回答に、映画への好奇心がより一層高まった

着用しているイヤリングがショーメ

そして遂に、日本での公開の日がやって来る。でも、ひょっとするとフレンチシネマ好きの読者の中には、今年6月に開催されたフランス映画祭にて、

「来日された監督の舞台挨拶と共に、すでに鑑賞済みで~す!」なんていう方もおいででは? 実は私もその一人でして☺

というわけで、気になる本作について、サラリとご紹介いたします。

19世紀末、フランス上流階級の3世代にわたる女性たちを主人公に描かれた、家族の絆、愛、そして人生にまつわる物語。

©h.usami

もちろんユン監督らしい映像美へのこだわりは、本作もキラリと輝きを放っている。

とりわけ印象的な自然との一体感について、フランス映画祭の際に、次のようにコメントされている。

❝スクリーンを通じて、人生に対するヴィジョン、人間が感じる感情を表す役割を自然が担っている❞

ここで、弊サイト先行でご覧いただけることになった、本作の衣装と美術に関する興味深いスペシャルムービーをご一緒に。


そろそろ冒頭にもご紹介したショーメのジュエリーや、美しい名画のような映像の世界に迷い込んでみたくなったのでは?


エタニティ 永遠の花たちへ

9月30日よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

©Nord-Ouest



「『永遠の輝き』という名のバトン!?」をテーマに巡った今回の「CINEMATIC JOURNEY」のマスターこと、パリで活躍するベトナム人監督トラン・アン・ユン。

ユン監督以来の期待の星と称されるひとり、ヴィクター・ヴー。

アメリカ南カリフォルニアで生まれ育ち、大学制作の学位を取得後、ハリウッドで映画制作ならびに長編監督デビューを果たした後、ベトナムに拠点を移した彼の注目作となる『草原に黄色い花を見つける』

少年時代の切ない恋の思い出を想起する物語とポエティックな映像に、本国で大成功をおさめ、また海外でもさまざまな映画祭で賞を獲得した本作。

ファッションの世界でも注目のベトナムに、新たな側面を見出すことになりそうな予感★


草原に黄色い花を見つける』 

全国順次公開中

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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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