「SHOKU」(=服「飾」、「職」人技、美「食」)という芸術(宇佐美浩子)

2017/11/15 17:30 更新


11月3日が「文化の日」ということもあってか「芸術の秋」。

もしくは「収穫の秋」を迎え、美食の秋を彩る「新酒」が登場する季節。

そんな二つ(芸術と食、フランスと日本)の文化を融合した集い「ブルゴーニュ/Bourgogneワイン×書」のイベントが開催された。

ワイン1本1本に対し、日本人書家の鈴木猛利氏がその味覚を1文字で表現するというユニークな試みだ。

©husami
❝ワインは歴史を分かち合うこと❞

と語るブルゴーニュから来日した生産者Louis MOREAU氏。

一方、書家の鈴木氏は

❝ブルゴーニュの土地の恵みをあるがままの姿で❞

という意味合いを込め「無為」と記した。つまりワインもまたパフォーマーであるということだ。

©husami

というわけで今回の「CINEMATIC JOURNEY」のテーマ「SHOKU(=服「飾」、「職」人技、美「食」)という芸術」。その最初の目的地フランスへ✈✈


あの有名な彫刻「考える人」を知らない人は数少ないのではないだろうか?

その作家である近代彫刻の父こと、「天才彫刻家ロダン没後100年記念作品」として、パリ・ロダン美術館全面協力のもと完成したのが本作『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』

シネマフリークの方の中には、イザベル・アジャーニ(カミーユ役)とジェラール・ドパルデュー(ロダン役)が共演した『カミーユ・クローデル』(1988年)というタイトルのフランス映画をご覧になった方もおいでかも?

もちろん私も鑑賞者の一人で、才能ある女性芸術家の苦悩を熱演したアジャーニがとても印象深く、記憶に残っている。

さて一方の本作はタイトルにある通り、ロダンが主人公であり、その人間性をも浮き彫りにしているのが、監督ジャック・ドワイヨンならではのスパイスが効いている。


そんなロダンを、あたかも実の彫刻家ではないかと錯覚するほどに演じきったのが、フランスの名優ヴァンサン・ランドン。

資料によると「ロダン美術館やパリ郊外の収蔵庫に通い、かつまた本人のコメントにもある通り「ロダンとして生きた時間」を創作すべく講師をつけて彫刻やモデリングの勉強をしたという。

歴史上知る人物たちが織りなす当時の交流関係図をスクリーンから垣間見ることができ、さらに数々の名作の誕生秘話。

また締めくくりに登場する「箱根 彫刻の森美術館」の庭園にそびえる「バルザック」像や、不勉強ながら初耳の「ロダンに日本人モデルがいた!」など、ロダンを通じ日仏文化交流が成されているように思ってしまうのは、私だけではないような予感…


ロダン カミーユと永遠のアトリエ

11月11日(土)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国公開中!

配給:松竹=コムストック・グループ

© Les Films du Lendemain / Shanna Besson 


「SHOKU(=服「飾」、「職」人技、美「食」)という芸術」をテーマにご紹介している「CINEMATIC JOURNEY」。では次なる目的地、日本へ向けて出発✈


『泥棒役者』というタイトルからして、なんだか笑える。。。

と思われた方「当たり!」です。

モジャモジャ頭がコメディアン風の元・泥棒役の丸山隆平(関ジャニ∞)を筆頭に、マッシュルームヘア×ハイテンションというインパクトが強烈な絵本作家役の市村正親、さらに売れない営業マンが似合い過ぎる(?)ユースケ・サンタマリア…とつづく顔ぶれの多彩さ。

そして、昔の仲間に脅され、たった1度限りの泥棒物語が、思わぬ展開となり…

果たしてその先に待ち受けているのは?

ところで、市村正親が演じる絵本作家のカラフルなファッションをはじめ、個性あふれるキャラクターの衣裳もまた、本作の隠し味のような気がしてならず、PR担当者に尋ねてみたところ、次のような回答を得た。

❝各キャラクターのテーマカラーに基づいて、衣装の色が決められています。 たとえば元・泥棒の主人公は「青」、絵本作家が「赤」、そして主人公の昔の仲間が「黒」といった具合に❞

あたかも心理描写的色彩かも?

ちなみに本作は時を遡ること2006年、監督の西田征史が作・演出を手掛けた舞台を

自ら映画用にリライトした完全オリジナル作品。

その舞台版で主人公の泥棒役を演じたマルチアーティストの片桐仁が、今回は自前のメガネをかけ、「ユーチューバー」という新種の役柄で登場している。

そんな知る人ぞ知る的演出も心憎い。


泥棒役者

11月18日(土)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー!!

配給 : ショウゲート

©2017「泥棒役者」製作委員会


前述のアーティスト、片桐仁流メガネへのこだわりに関し、少しばかりリサーチしたところ、偶然目にしたのが、カルチャーとメガネの融合を目指した新機軸の発信型店舗「JINS 渋谷店」のオフィシャルサイトのインタビュー記事。

❝メガネは単なる道具ではなく、仕事でも自前のメガネを使っているので、
役作りにも必須の重要なアイテム❞

なのだそう。

さて、そのショップ2階に期間限定(~11月30日)で、世界的に活躍するデザイナー、ジャスパー・モリソンの私物アイテムと共にアトリエの一部が登場!

というのも、当ブランドが新たにスタートした、メガネの本質からデザインするという「JINS Design Project」の幕開けを飾ったのが彼だから。

本展のためにオリジナルデザインされたオブジェのような什器には、新作のフルラインナップがディスプレーされているので要チェックのほど 。

©husami




うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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