J・フロント社長、消費の二極化に慎重

2015/10/08 06:11 更新


 J・フロントリテイリングの山本良一社長は、15年度下期の見通しについて「消費の二極化の流れは変わらない。地方店の回復の遅れや婦人服の不振もあり、楽観視していない」と語った。16年2月期の連結業績予想は売上高が2.7%増の1兆1800億円、営業利益が11.5%増の470億円で、過去最高益となる見通しだが、慎重な見方を示した。

 上期は外商など高額品が堅調だったが、ボリューム品の動きが鈍かった。外商顧客の年間購入額別の売り上げは100万円以上が3.9%増、50万円未満が6.7%減となり、消費の二極化が顕著だった。

 一方で、購買行動を個々にみると「生活必需品は節約し、趣味やこだわりのモノ、娯楽、教養などにはお金を惜しまない」と価値観の変化が広がっている。婦人服の市況が厳しいのは「価値観や楽しみ方が多様化したことが要因の一つ」と指摘する。消費の二極化にはさらに拍車がかかると強調する。

 大丸大阪・心斎橋店は建て替えで本館を年内で営業終了するが、北館と南館の2館体制で「売り上げは10%減程度に抑える」という。同店の売り場面積は7万7000平方㍍から約4万5000平方㍍に減るが、本館のラグジュアリーブランドや宝飾・美術、食品などを北館に集約し、フルラインの品揃えを維持する。関西エリアの自社店舗との連携や外商の強化で面積減を補う考えだ。

 南館はインバウンド(訪日外国人)対応の館に特化する。品揃えはもちろん、近隣の商店街の免税手続きを一括して受託する免税カウンターを整える。同店の免税売上高は15年上期で5.2倍の96億円となり、売り上げ構成比で20%に達した。



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