音楽の街ベルリンで活躍する日本人ドラマー(宮沢香奈)

2018/07/14 15:00 更新


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ベルリン=テクノというイメージはすでに私の中にはなく、全てを網羅した音楽の街であることを日々実感している。この街には“ないジャンルなどない”と言えるほど実に様々な音楽のジャンルが存在し、それぞれにシーンがある。そして同様に、世界中からやってきたアーティストによって様々な人種が入り混じったバンドやイベントが構成されており、リアルな文化交流を体感することが出来るのだ。

ライブハウス”Kantine am Berghain”のある敷地内にはビアガーデンとバーガーレストランが併設されている。このすぐ隣が”Berghain”。

少し前になるが、世界最高峰と呼ばれているベルリン有数のクラブBerghainの横にあるライブハウスKantine am BerghainにてLocust Fudgeのライブが開催された。Locust FudgeとはDirk Dresselhaus(Schneider TM)とChristopher Uhe(Krite)によって90年代に結成されたバンドで、2014年に日本人ドラマーの青島主税をメンバーに迎え、3ピースバンドとして再結成された。オルタナティブロック、ポストロック、シューゲイザーなどを自由に操り、ユニークなオリジナルスタイルを持つバンドと言える。

Locust Fudgeライブ@Kantine am Berghain
Locust Fudgeライブ@Kantine am Berghain

特に、Schneider TMとKriteは1曲ごとにギターとベースを交代し、ボーカルも交代するというスタイルには驚いた。日本のバンドではこれまでに見たことがない。ステージの端にズラリと並べられたギターコレクションもとても渋く、エレクトロニックミュージックも入り混じったライブは次に何が来るか予想がつかない未知の楽しさがあった。個別での活動も多岐に渡る3人の実力と貫禄を見せつけたライブは平日にも関わらずフロアーは満員状態となった。

Schneider TM
Krite

かなり年上でキャリアもあるバンドメンバーと一緒に活動している日本人ドラマーの活躍にも注目したいが、青島氏はどのような経緯でLocust Fudgeのメンバーに抜擢されたのだろうか?

「schneiderのガールフレンドが日本人のダンサーなんですけど、彼女と共演した時に彼も遊びに来てくれたんです。それで、ライブ後に一緒に飲んでいたら話が盛り上がって、彼の自宅の地下のスタジオでジャムセッションすることになったんですが、楽しくて朝まで一緒に演奏してました(笑)その数ヶ月後にもうひとりのメンバーであるKriteと90年代に活動していたバンドLocust Fudgeの再結成が決まって、ファースト、セカンドアルバムも再リリースされることになって、それに伴いツアーもすることになったんです。そこにSchneiderから一緒にツアー回らないか?というオファーをもらって現在に至る感じですね。2014年の秋頃の話です。」

青島主税

こう言った国境を越えた交流が日常的に出来るのもベルリンならではだが、例えば日本でスター扱いされるようなアーティストであってもかなりフランクに知り合えるのもこの街の特徴と言える。先日も友人のパーティーで行ったクラブのエントランスにちょこんと座っていたのがDJのZipだった。一緒に乾杯したことはあっても私の名前など覚えていないだろう。それでも、ハイ!と笑顔で挨拶を交わし、「あれ、今日回すの?」「ううん、僕は今日スタンプ係なんだ(笑)」と冗談を言い合える。ローカルのアーティストは大抵こんな感じで、私がこの街を好きな理由の一つである。

話を戻すと、青島氏はボストンの名門バークリー音楽大学にて学士課程を修了しており、ジャズ、ロック、ポップス、さらにはエレクトロニックミュージックにも精通しているジャンルレスなドラマーである。Locust Fudgeと並行してバークリー時代の友人とSchlafwagenというバンドでも精力的に活動しており、つい最近では、チケット購入は抽選のみ、公式での取材は不可という独自のスタイルでも有名な世界的フェス”Fusion Festival”へ出演したばかり。

音楽の街ベルリンであってもプロのミュージシャンとして食べていけている人はそれほど多くない。世界の強豪と肩を並べながら、いろんなチャンスを掴んでいる数少ない日本人アーティストの1人として彼の活躍に今後も注目したい。


青島主税(Chikara Aoshima)オフィシャルサイトhttp://chikaraaoshima.com/index.html

Photo : Saki Hinatsu



宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。

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