米フェイスブックが社名をメタと改称したことに代表されるように、XR分野のビジネスで世界的な期待感がますます加熱している。ファッション業界では、コロナ禍前から先進企業がVR技術をバーチャル文化の発想で小売りに活用してきた。コロナ禍にはデジタルチャネルの重要性が増し、フィジカル再現を志向するという違う側面から新技術が導入され始めた。XR分野との融合が進むなか、プラットフォームの利便性向上が競合との連帯も視野に入れながら、社内で技術や市場の知見を蓄積することが重要だ。
VRで新規顧客を開拓
コロナ禍前のファッション業界におけるXR活用の動きは、VRを主としたバーチャル世界で新規顧客であるVRユーザーの獲得を目指すものだった。「バーチャルマーケット」(主催はHIKKY)などバーチャルイベントをきっかけとするフィジカル商品の販売チャネルの開拓と、アバター向けの服の3D・CGなどバーチャル商品の消費市場の開拓に二分される。双方で盛り上がりを見せてきた一方で、本格化に向けてプラットフォームが課題であることは否めない。自社独自のVRコマースを作ることがコスト面などで難しい中小企業や個人事業主の多いファッション業界としても、参入しやすいプラットフォームの整備と普及がカギとなるはずだ。