FIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会で代表チームが優勝したドイツでは、閉幕後の今でも、ユニフォームが売れ続けている。
売れているのは胸部エンブレム上部に4つ星がついた新ユニフォームだ。W杯では優勝チームに星が与えられることになっており、1954、1974、1990年に続き今回優勝したドイツには、4つ目の星が与えられた。
新ユニフォームの4つ星
この新ユニフォーム、決勝戦終了後早速独公共放送ARDにお目見え。決勝に進出したドイツとアルゼンチンにユニフォームを提供したアディダスは、星を一つ加えたユニフォームを事前に両国分用意していたのだった。翌日ベルリンで開かれた祝賀イベントでも、同市市長や歌手らがこれをまとって登場し、注目を浴びた。
独公共放送ARDで試合後に新ユニフォームが紹介
販売も即開始された。アディダス・グループ広報担当シュライバー氏は「優勝と同時に中国での生産を開始。できるだけ早くファンに届けたく、出来次第飛行機で運搬している」とするが、優勝特需には追いつかないようで、各地で品切れが続出した。
22日フランクフルトの大手スポーツ店に尋ねたところ、3つ星、4つ星ともに品切れとの嬉しい悲鳴をあげた。
折しも子供用の入荷日だったが、開店とともに数十人が申込カウンターに傾れ込み、数分後には殆どのサイズが売り切れとなった。成人用の入荷は8月以降になるという。
子供用ユニフォーム発売日にスポーツ店前で開店を待つ人々
今大会でアディダス・グループはドイツ代表ユニフォームを200万枚販売することを目標とし、これを決勝戦の前の時点で達成した。うち50万枚は国外で売れた。シュライバー氏は「その素晴らしいプレーによりドイツ代表の人気は世界的に高まっている」とする。
W杯期間中多くの車が国旗たてて走っていた。ここまでやる人も…
ユニフォーム売上増の最大の原因をアディダスは、スポーツイベントとしてのサッカーW杯の人気の高まりにみる。ドイツ国内でもW杯熱は回を重ねるごとに高まっている感がある。
ARDによれば決勝戦をテレビ観戦した人の数は過去最高の3465万人。国民の5人に約2人という計算になる。多くの人は広場、カフェ、レストランでユニフォームを着てパブリックビューイングをし、他の人と興奮を共有し合う。
筆者は飲食店が比較的多い地区に住んでいるのだが、テレビをつけていなくても、外のどよめきでドイツがゴールを決めたかどうかがわかるくらいだ。これほど多くの人が熱狂するドイツのお祭りといえば、毎年春先に行われるカーニバルくらいだろう(ただしこちらは地域限定)。
強い代表チームのお陰でW杯は、国内最大級のお祭りになった、といっても過言ではなさそうだ。
フランクフルト在住。身長152cm。大きなドイツ人の中にいると小人のように見えるらしい。小回りだけは利くジャーナリスト兼通訳。ファッションからヘルスケアまでをカバーする。