ドイツの冬の風物詩といったらクリスマス市だろう。おおよそ12月の初めからクリスマス直前まで、各町の中心にある広場にクリスマス市が立ち、この時期に欲しくなるような品々を揃えたスタンドが軒を並べる。
晴れることが殆どなくどんより薄暗い12月にあって、クリスマス市が放つ照明が町を輝かせ、人々を引き寄せる。時には零度を切る寒さの中、グリューワイン(ホットワイン)で身体を温めながら、スタンドを見て回るのが醍醐味だ。
クリスマス市の起こりは中世に遡る。各町の人々が厳冬を越すため必要な食料や暖かな服を売る場であったという。同時に当初から、集って飲み食いする場であったようだ。
また、プロテスタント教会のウェッブサイトによれば、都市においてはこの時代から、当時珍しかった香辛料を入れたお菓子、レープクーへンを、市で売ることが流行り始める。時代が進むとまた、子供へのクリスマスのプレゼントや樅の木を飾る習慣などとも結びつき、それ様の品々も販売されるようになる。
クリスマス市はドイツとその周辺国に独特の風習だ。そういったことから最近は観光アトラクションともなっている。
例えば、国内最大の国際空港のあるフラクフルトのクリスマス市には200を越えるスタンドがひしめき合い、観光客も含め毎年約300万もの人が訪れる(Frankfurter Rundschau紙)。
広場ではドイツ語以外に、英語、ロシア語、中国語、日本語と、多様な言語が聞こえてくる。またクリスマス市そのものが輸出されてもいて、英・米の幾つかの町で催されているという(プロテスタント教会サイト)
このように国際化する一方でクリスマス市は、スーパーや街中の商店ではなかなか売っていない、ローカルで伝統的かつユニークな品々を買える貴重な機会でもある。クリスマス市でなければなかなか買えない品のいくつかご紹介します。
フランクフルトのクリスマス市。毎年市庁舎前広場で開催
クリスマス市に無くてはならないグリューワイン。凍える身体を芯から温めてくれる(フランクフルト)
クリスマスを飾るインテリアの一つ、星型ランプを売るスタンド(フランクフルト)
お菓子スタンド。ハート型レープクーヘンが目を引く。キャラメルコーティングの焼きアーモンド(手前奥)が大人気。バニラ、チリ、シナモン・・・多様なフレーバーがある(フランクフルト)
地産のソーセージ類を売るスタンド。サンタ姿のサラミが飛ぶように売れていた
郊外の養蜂家のスタンド。果物、香草入り蜂蜜、蜂蜜酒が何十種類と並ぶ(フランクフルト)
カリグラフィー。注文に応じ表札、家系図、カードなど書いてくれる(ケルン中世風クリスマス市)
フェルトのアクセサリー(ケルン中世風クリスマス市)
フランクフルト在住。身長152cm。大きなドイツ人の中にいると小人のように見えるらしい。小回りだけは利くジャーナリスト兼通訳。ファッションからヘルスケアまでをカバーする。