【パリ=松井孝予通信員】仏LVMHの25年1~9月の売上高は、前年同期比4%減の580億9000万ユーロとなり、上半期の減収局面から持ち直しの兆しがみられた。7~9月は1%増と、24年同期に減収に転じて以来1年ぶりの増収となった。
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地域別では、欧州と米国のローカル消費が堅調に推移する一方、日本は前年同期に円安を背景に訪日消費がふくらんだ反動で、13%減だった。対照的に、上半期に減収だったアジア太平洋は、7~9月に2%増に転じ、中国市場も再びプラスに戻った。
部門別では、総売上高の約半分を占めるファッション&レザーグッズは6%減の276億ユーロ。「ルイ・ヴィトン」が部門平均を上回る堅調さを保ち、「ディオール」は新体制移行期でやや伸び悩んだ。セシル・カバニスCFO(最高財務責任者)は、「ディオールの再始動を担うジョナサン・アンダーソンの初コレクションが26年春以降に反映する」と説明した。ワイン&スピリッツ(4%減)は持ち直し、パルファン&コスメティック(横ばい)、ウォッチ&ジュエリー(1%増)、セレクティブ・リテーリング(3%増)はいずれも回復基調にある。
同社は為替、地政学の不確実性を織り込みつつ、「ブランドの魅力度の強化」を軸に持続的な成長の再構築を図る。