【パリ=松井孝予通信員】仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは1月27日、ステラ・マッカートニー氏が、自身が創設したメゾンでLVMHが保有する株式49%を買い戻すことで合意したと発表した。
ステラ・マッカートニー氏は01年、仏ケリングとの共同出資で「ステラ・マッカートニー」を設立。サステイナブルファッションの推進をともに進めてきたが、18年に同氏がケリングの保有株を取得し、パートナーシップに終止符を打った。その翌年にはLVMHが株式の49%を取得し、新たな資本関係が成立。LVMHのサステイナビリティー開発の世界アンバサダーに就任した。解消後も、アンバサダーとしての役割を継続し、LVMHの経営陣に対し環境に関する助言を続ける。サステイナビリティーを理念にした自らのブランド哲学をさらに反映させる独立運営を模索しているとみられる。
一方で、LVMHにとって今回の売却は、厳しさを増すラグジュアリー市場で、より収益性が高いブランドへの投資を優先する動きの一環と考えられる。声明の中で、「今回の決定は、ステラ・マッカートニー氏が完全な独立性を持ち、新しい物語を紡ぎたいという意志を反映したもの」とコメント。24年10月にも「オフホワイト」の株式60%を米企業に売却しており、ポートフォリオ再編の意図がうかがえる。