創業者である両親の後を継ぎ、5月にメーカーズシャツ鎌倉(MSK)のトップに就いた貞末奈名子社長。製造のサダ・マーチャンダイジングリプレゼンタティブ(SMR)も2月に引き継いだ。コロナ禍の船出だが、「うちは危機に強い会社。改めて会社のビジネスモデルが理にかなっていると感じた」と悲壮感はない。2年をめどに製販の両社を一つにする考えで、これまでなかった社内の組織図や役職も設け、一体化への下地作りを進める。東京の本部である広尾のオフィスも半分返す予定で、本社所在地の「鎌倉」に改めてフォーカスする。創業者が築いた成功パターンを変更するのは、創業者が「実現したかったことをさらに進めるため」。〝新創業〟とも言える大きな改革を始めている。
(永松浩介)
20年5月期のMSKの売上高は32億円で「20数年ぶり」の減収となった。緊急事態宣言下で約1カ月半店舗を休業したのが響いた。人件費以外の販売管理費の大幅削減と営業外収益の計上で、最終損益は4700万円の黒字にした。一方、12月が決算となるSMRはEC売り上げがあるため1~6月でも黒字を積み上げた。急きょ、生産を決めたマスクの売り上げも貢献した。
コロナの問題が深刻化する中で最初に考えたのは、従業員の生活と11ある生産委託先の工場の経営だ。雇用を守るのは当然として、店舗休業中も給与は全額支給した。ボーナスは5月末に4割カットでまず支払い、8月上旬に残りを全て振り込んだ。従業員の生活を保証することで「会社へのロイヤルティーも高くなったのでは」と話す。
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