《めてみみ》漠然とした顧客像

2019/03/19 06:24 更新


 伊勢丹メンズ館が16日、リモデルオープンした。東京の百貨店の紳士服売上高で3割を占め、世界有数のメンズファッションストアであり、国内外の注目を集めた。ラグジュアリーブランドの集積やプレステージのオーダーなど同館らしさが随所に見られたが、03年のオープン時のようなサプライズは感じられなかった。

 伊勢丹新宿本店のリモデルは従来、膨大なデータを分析して顧客分類を見直し、PDCA(計画・実行・検証・修正)を繰り返して潜在需要を顕在化し、新たな市場を創造してきた。メンズ館の売上高は1年目に351億円、ピーク時の07年度に476億円まで拡大した。リーマンショックで落ち込んだが、富裕層や訪日外国人の需要を取り込んで復調した。

 今回は「データは結果に過ぎない。それに頼ることなく、お客様が今、望んでいることに徹した」という。漠然とした顧客像の抽出はしない。売り上げや効率の維持、拡大はビジネスとして当然。しかし、次世代の顧客層には買い物体験の楽しさなど新たな価値提供が要る。

 既存顧客は265万人で平均年齢が49歳に達した。ミレニアム世代の売上高構成比は23%。他店に比べれば格段に高いが、さらに引き上げる戦略があまりない。日本発ラグジュアリーブランドのインキュベートなどメンズ館でしか出来ないことは多い。



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