令和の米騒動や物価高で割を食っているのは、外食産業とアパレル・シューズ関連、旅行業界だ。日銀が3月に実施した「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年前と比べて支出を増やしたトップ2は食料品と日用品(洗剤、雑貨など)。一方、支出が減ったのは前述の三つだった。
そうした逆風下でも商社の繊維事業は踏ん張っている。このほど実施した「商社繊維事業24年度業績アンケート」では23社中17社が増収を達成。その合計金額は2兆8464億円で前期比5.5%増だった。
為替による海外売上高の底上げ効果もあるが、酷暑に対応した夏物衣料の拡大や価格改定、新規分野の開拓など手を尽くす。
しかし先行きの見通しは良くはない。6月実施の同調査では、全体の7割以上の人が「1年前と比べて景気が悪くなった」と答え、全体の6割が暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と回答した。それが消費行動に結びつく。今後1年間で「商品やサービスを選ぶ際に特に重視すること」の1位は価格の安さ。消費者の安さを求めるニーズはより強まっている。
消費者ニーズに合わせて厳しくても価格を維持、もしくは安くして他の消費財に負けないようにするか。それとも販売が減っても引き続き付加価値を高めて価格を上げ、収益確保を狙うか。戦略が分かれるところだ。