商社のファッション向けの製品OEM(相手先ブランドによる生産)や糸、生地販売が振るわない。巣ごもりニーズに対応した売れ筋もあるが中・軽衣料中心で、アウターやビジネス用途の落ち込みをカバーできていない。そこに緊急事態宣言の再発出で、実店舗では再び来店客数が大きく落ち込み始めた。欧州でも都市封鎖を強める動きが加速し、海外向けも苦戦が続きそうだ。
ある商社でウェブ会議システムで海外顧客と商談する営業マンを見かけた。海外出張ができず、オンラインでの商談が続く。別の商社マンは、「商談はできてはいるが、先方が自宅勤務で進まない。詳細の詰めにも限界があり、いつまで続けられるか。売り上げの減りをなかなか立て直せない」と嘆いていた。
一方で中国や、感染拡大を抑え込むベトナムなどでは、商売の状況は決して良くはないが、「顧客や新規先に出向き、少しずつ新しい話や引き合いが増えてきた」と攻勢を強める。「コロナが落ち着いているうちにできるだけ刈り取る」ためだ。
コロナ下では、感染拡大次第で市場性やニーズが大きく異なる。日本を含めた世界的な視野でその濃淡や必要とされる商材を見極め、素早く商談して刈り取る必要がありそうだ。生産のQRだけでなく、商談から納品までのスピードが重要性を増している。