《めてみみ》今、求められるもの

2021/01/28 06:24 更新


 ジョー・バイデン氏が米国大統領に就任した。早速、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」への復帰や世界保健機構脱退の撤回などを打ち出した。前大統領時代の混乱と分断を修復し、安定と協調、平和を取り戻す軸になってもらいたい。

 英『エコノミスト』誌傘下の研究所は毎年、世界各国の政治の民主主義レベルを数値化し、ランキング形式で発表する。米国は「欠陥のある民主主義」とされ25位(19年)。選挙過程や多様性の指数は良いが政府機能や政治文化の指数が高くない。

 トランプ支持者の連邦議会議事堂突入を受け、バイデン大統領は就任式で民主主義を壊れやすいものと表現し、その重要性を何度も説いた。アメリカの民主主義が崩壊するという危機感からだろう。

 あるシンクタンク調べでは世界の民主主義的な国・地域は19年で87。対して、権威主義体制は92で18年ぶりに逆転したという。両者の主張は様々な場面で衝突する。戦争や紛争に加え、米中の貿易摩擦、そして新型コロナウイルス感染拡大がもたらす被害と不況。世界は混沌(こんとん)に満ちている。

 ファッションは平和産業と言われる。平和だから服が売れるということもあるが、今求められるのは、穏やかで落ち着いた気持ち。落ち込んだ心を元気にしてくれる服やファッションだろう。作り出すのは私たちだ。



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