隣の国の緊急事態宣言をよそに、中国では労働節である5月1日から5日までの大型連休は、観光がらみの消費が大いに活発だった。記者も上海から2時間以内にある南京と蘇州に行ってみたのだが、そこに身を置いてみると、2億3000万人が中国内を移動するという試算以上の「熱量」を体感した。
連休の売り上げデータを報じた中国経済系メディア「聯商網」によると、国内旅行収入は1132億元で前年同期比138%増で、今年のゴールデンウィークは「まさに火が着いたよう」と表現していた。しかし一方で、コロナ禍前には戻っていない面もあって、旅行者数は19年に比べて増加したものの、1人当たりの支出は減少したらしい。理由は書かれていないが、旅行などの体験にはお金を出しても、商品は買い控えるなどの傾向があるのかもしれない。
各都市の消費調査も出ており、上海は大型商業企業210社の1~5日営業収入が74億元で18.6%増、うち飲食企業は約50%もの増加だったという。人が動けば、飲食は活発に動くのだろう。
記者自身は観光地で土産など何も買わずに帰ってきた。中国人の同僚に中国品を渡すのも芸がないし、日本の家族や知人に会ったり渡したりする予定がないと、購入意欲はほとんどわかない。物販の完全消費回復までには時間を要しそうだ。