《めてみみ》無意識の中の無駄な時間

2021/05/24 06:24 更新


 子供の頃から忘れ物が多く、物もよく無くす。大人になっても改善するどころか悪化の一途だ。先日も購入したばかりのペンを、2日で無くしてしまった。

 もらったはずの資料がない、メモした紙が見つからない、かばんの中でスマートフォンや名刺入れが見当たらない。さらに、返信しなければならないメール、ダウンロードしたはずの写真や資料など、パソコンやスマホの中でも同様のことが起こる。

 文具メーカーのコクヨが過去に実施した調査によると、一般的なビジネスパーソンが書類を探すのに費やす時間は、年間80時間に上るという。1日8時間労働とすると、1年間のうち10日間は探し物に終始している計算だ。別の調査では、ペンや名刺なども含めた探し物にかかる時間は、年間150時間とも。

 19年の日本の1人当たりの労働生産性は、OECD(経済協力開発機構)加盟国37カ国中の26位。時間当たりの労働生産性も21位と下位にいる。国単位の大きな視点でなくとも、仕事の効率化や1人当たりの生産性向上は、企業にも個人にも大きな課題だ。

 パソコンやスマホ、各種システムやAI(人工知能)の導入が進む。とはいえ、ハード面の整備だけでは解決していないのではないか。目に見える無駄だけでなく、無意識に生まれている、細かな無駄の積み重ねは、意外なほど大きい。



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