《めてみみ》あいまいな線引き

2021/05/25 06:24 更新


 生活必需品の範囲を巡り、百貨店の対応が二転三転している。三越伊勢丹の都内4店舗は5月23日から、松屋銀座本店は24日から、ラグジュアリーブランドの販売を休止した。緊急事態宣言が再延長された12日以降、宝飾・美術品、アクセサリー、玩具などを除き、ほぼ全ての売り場を順次再開していたが、再び営業縮小を余儀なくされた。

 混乱の原因は〝線引き〟のあいまいさにある。東京都は日本百貨店協会に対して12日、食料品など生活必需品を除いて売り場を休業するよう要請し、高額品(ぜいたく品)の販売の自粛を求めた。都には、ぜいたく品の定義に関する問い合わせが殺到した。

 都内百貨店が生活必需品の範囲を拡大したのは、休業要請の対象外と判断したため。その後、都の反発の大きさから西武池袋本店、同渋谷店は20日から、ラグジュアリーブランドの営業を再び休止した。一方で、高島屋や大丸松坂屋百貨店の都内店舗は一部制限しながらラグジュアリーブランドの営業を継続している。

 宣言延長以降、都心店は上層階を中心に客足はまばらだ。ラグジュアリーブランドの営業を続けても人出が増えるとは思えない。5月の売上高は前年に休業した反動で前年比3~7倍に伸びているが、19年比では半減しており、2年続けての休業で経営に与える打撃はさらに大きい。



この記事に関連する記事