香港・フォングループ傘下で衣料品OEM(相手先ブランドによる生産)企業のフォワード・アパレル・トレーディングが自主廃業する。年内をめどに株主総会で解散を決議、来年3月会社を清算する予定。18年に長期借入を返済し財務体質を強化。19年、20年ともに黒字だったがコロナ禍で売り上げが大きく減り、「株主が将来に向けた事業継続は困難と判断した。」
ポイントは〝今なら〟「短期借入も含め全債務の履行に十分な資金があり、解散後全債務を完済しても残余財産を株主に分配」できる点だ。見通しが立たないOEM事業を続けるよりは、残った資産を次の投資に回す判断だろう。
この決定を社員が聞いたのは先週。「コロナは痛いが財務内容は改善していた。頭が真っ白」とある社員。「外資でオーナーが即断即決する。企業の歴史などは関係なく、投資家目線の判断に妙に納得した」とも。
兼松から繊維部門が99年に分社し兼松繊維が発足。07年にフォングループに入り、12年完全子会社化。15年に社名を変更した。この間、不採算事業は撤退しファッションやスポーツOEMに絞り込んでいた。
「やっぱり悔しい」と先ほどの社員。そうだろう。人間はカネとは違い、生きている。そんな風に感傷的だから日本人は判断が遅れるのか。最後、互いに言った。「またどこかで」。