21~22年秋冬デザイナーコレクションで、サステイナブル(持続可能性)を背景にしながらも環境保護を大上段から主張しないコレクションが気になった。「ダブレット」の井野将之や「フミト・ガンリュウ」の丸龍文人ら日本のデザイナーだ。
「サステイナブルとかそんな大げさなことは恥ずかしくて言えません。もったいないから、できることがあればって感じでしょうか」とは井野。丸龍も「シリアスな問題をシリアスにやってしまうと恥ずかしいんです。照れ隠しでポップにしてしまうところがあります」と話す。
海外ブランドがとうとうと環境への配慮を語る一方で、それを大げさに主張しない日本のデザイナー。サステイナブルをビジネス戦略として位置付け、ブランドイメージを繰り出すラグジュアリーブランドと比べると、あまりにも奥ゆかしく見える。ブランディングの違いもあるから、それはそれでよいのだが、少しもったいない気もする。
「世界の中で特に日本人デザイナーってシャイだと思うんです。皆さん、ショーの最後にも出たがらないですけれど、海外のデザイナーは得意げに出てきますよね」。丸龍は日本人のメンタリティーとの関係も示唆する。真面目なことを不真面目なユーモアやポップにして見せる。その生真面目さもまた、日本人デザイナーらしい。