「十年一昔」というが、一昔を感じるのに10年も必要としなくなった。今や働く世代のほとんどが利用しているスマートフォンだが、10年前の2011年、個人のスマホ保有率は15%にも満たなかった。
「5000万ユーザー獲得までにかかった年数」というデータが興味深い。自動車は62年、電話は50年、テレビは22年かかった。テクノロジーが個人のものになると普及の速度は上がる。携帯電話は12年、インターネット7年、フェイスブック3年、ツイッター2年。LINEは399日で達成した。
普及にかかる年月の短縮は、デジタル技術の開発・進化とともに、グローバル化の進展や世界人口の増加、中間所得層の増加も後押しする。いずれにせよ変化のスピードは上がるばかり。
昨年末に日本語訳が出版された『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』が売れている。本書によるとAI(人工知能)、5G、VR(拡張現実)など個々に発展してきたテクノロジーが融合することで、変化の速度が一層上がる。買い物やエンターテインメント、教育、医療など身近な事例ごとに語られる未来図は、SF小説を読んでいるようだ。
こうした近未来の変化を、夢物語とみるか、恐ろしい変化として拒むか、新しいビジネスの好機ととらえるか。ゆっくりと考える時間はもうないようだ。