近鉄百貨店が「コクミンドラッグ」のFC1号店を大阪・上本町に開設する。FC事業は15年秋のコンビニから開始し「東急ハンズ」「オンデーズ」「成城石井」「ボディーズ」など、毎年のように業種を広げてきた。今回で13業種目で、FC店は計39店となる。
「百貨店事業において、高い粗利が見込めること。テナント導入よりも、スピーディーに新しい売り場作りに対応できること」。秋田拓士社長は、本紙2月8日付でFCに取り組む理由を語っている。収益性の向上、集客力の強化、新規客層の獲得という百貨店業界が長年抱える三つの課題に迅速に対応できるというわけだ。
その解決策は、自主編集・自主販売の強化かテナント化かの二者択一だった。結果はテナント化が優勢となったが、そこから抜け出した「第三の道」がFCに思える。「販売力がない」悩みがある中で、買い取り・自主販売が基本のFCで社員の店舗運営力の向上も狙っている。
同社は「暮らしに役立つ」マルチFCフォーマットの確立を目指し、さらにFCの業種の幅を広げる。自社百貨店店舗の活性化にとどまらず、各FCを組み合わせた外部出店も視野に入れてFC事業を拡大する方針だ。コロナ禍で、投資抑制と経費削減が主流。しかし、未来を創るためには「前向きな挑戦」への投資がどうしても必要だ。