《めてみみ》店長の姿勢

2021/06/22 06:24 更新


 規模を問わず、店長の取材をすれば、その専門店が良い会社か判断できる。4年前に取材した店長は身長180センチを超える偉丈夫で坊主頭。いかつい見た目だが、「スタッフへの指示出しや注意をするときは店内で」と決めていた。

 別室などに呼び出して話すと「密室で2人きりなので相手が構えてしまう」。話す時も「上から目線」でなく、丁寧語で穏やかに。その代わり、雑談ではフランクな口調にして、心理的な距離感ができないように配慮していたそうだ。

 新人に教える際も検品や掃除、ディスプレー替えまで一緒にやる。「目線が同じになるし、何ができるかできないか直接確かめられる」。それでもついきつい言葉が出てスタッフが落ち込むこともある。その際はスタッフを仕事終わりに食事に誘う。

 くどくど責めず、将来の希望を聞き、自分の失敗談も正直に話して、翌日以降にしこりを残さないようにする。取材後、本社勤務となっても店長時代と変わらず「チームの目標は社歴を問わず、スタッフ全員が集まって決める」と教えてくれた。全員参加なら「伝言ゲームにならず、決定のプロセスに加わった皆のやる気も出る」

 優しくて気配りのできる店長だったから今も覚えている。現場のプレイングマネジャーがスタッフに対して取る態度はその会社の社員への姿勢と相似形を成す。



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