先のプロ野球交流戦は、オリックスの優勝で幕を閉じた。長年の低迷が続くなか、久々の活躍である。オリックスの前身である阪急の70年代は本当に強かった。10年間で優勝6回、2位が3回、75年から3年連続で日本シリーズ制覇と、まさに黄金期を築いた。
往時の阪急に伝わっていた言葉が「追い悪魔」と聞く。怒るな、威張るな、焦るな、腐るな、迷うなの頭文字を取ったもの。迷うなではなく、負けるなと唱える人もあるようだが、いずれにしてもプロ野球人としての心構えを説いたものだ。中身は同じだが、順番を変えた「青い熊」という言葉もある。
先の阪急のほか、大手企業の経営者などが社員への訓示としてこの言葉を引用し、世に広まっていった模様。仏教の法話では古くから話されていたようで、京都・嵯峨野の二尊院でも人生五訓として配られている。二尊院の五訓は、「お」の一字だけ違っていて、「怠るな」となる。
度重なる緊急事態宣言のなか、ウェブでの取材や会見が増えた。「働き方改革」と捉える見方もあるだろうが、貧乏性の記者は、取材場所に足を運ばないことが「怠る」ことにつながっている気がしてならない。ワクチン接種が一巡した後、対面折衝のあり方がどう変わるのかは読めないが、「怠らない」という言葉だけは胸に刻み付けておきたいものだ。