靴下メーカーの三笠(横浜市)が神奈川県葉山町のげんべい商店と協業してビーチサンダル用靴下を立ち上げた。鼻緒に当たる指の痛みを軽減、蒸れを防止するほか、靴下とサンダルのカラーコーディネートも楽しめる。
三笠は5年連続の増収を続ける靴下業界の成長企業。元は卸販売だったが、甘利茂伸社長の母親の実家が奈良県広陵町の靴下メーカーだった縁から、奈良で工場を立ち上げた。稼働が東日本大震災と重なったが、苦労して軌道に乗せ、今は奈良に新工場の建設計画も進めている。
一方、げんべい商店は全国に名を知られるビーチサンダル専門店。足袋屋として創業したのが江戸時代の末期というから古い。その後、よろず屋を兼業した時期などを経て、50年代からビーチサンダルを手掛けた。ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻がわざわざ指名買いに来たというエピソードも残る。
外出自粛やテレワーク増によるストッキング需要の低迷などで、レッグウェア業界を取り巻く環境は厳しい。20年の国内生産量は前年比約2割減の1億9700万足、ついに2億足を割り込んだ。とはいえ、今も15%近い国内生産を維持している。後継者に恵まれた中堅企業も少なくない。異業種との連携も大事な生き残りのキーワード。知恵を絞り、発想を変えていけば、まだ道は開けるはずだ。