《めてみみ》日中の未来

2021/07/14 06:25 更新


 「日中企業人の読書交流会」という日本語を読み話せる人が集まるイベントで、上海日本国総領事館経済部長の福田高幹さんが日中関係をテーマに講演した。外務省での08年の日中戦略的提携、そして直後の関係悪化の経験を基に、日中の未来を語った。

 言わずもがな、今の両国は〝政冷経熱〟。さらに最近は安全保障への懸念が相まって、ある世論調査で「中国が嫌い」と答えた日本人の割合は84%超にも上った。その一方で、「日本に好感を持つ」と答えた中国人の割合は45%を超え、〝日冷中熱〟というアンバランスな構造が進んでいる。実際に19年の訪日中国人は785万人で、08年時の100万人から7倍以上になったのに対し、18年の日本から中国への入国者数は269万人で08年から2割超減り、日本企業駐在員数も減少している。

 とはいえ、今後10年の日中関係は「両国の一般人や企業活動に委ねられている」と福田さんは話す。日本人には「中国を因数分解してみて」と言い、行動や支出の決定権を握る中国人女性とどう向き合うかや、国際都市の上海をどう切り取ってみるかなど、中国への見方を変えることを促す。特に、未来の関係構築に向けては、若い人が中国に来る機会と頻度を増やすことが大事という。中国進出企業には、民間交流を促進する視点も重要になった。



この記事に関連する記事