《めてみみ》やっとのヒット

2021/07/26 06:24 更新


 「盛り上がってはいけない」というのはストレスがたまる。野球好きの長男にせがまれ、広島カープの試合を見に行った。相手ピッチャーのすごい投球にカープ打線は手も足も出ず、「全然あかんやん」と息子。8回、やっとヒットが出た。その瞬間、思わず声が出た。周りみんなだ。そこに係員が走ってきた。「声を出さないで下さい」。思わず立ち上がった前列のおじさんが特に注意を受けた。

 続く打者もヒット。初のチャンスに私も息子もおじさんも喜んだ。また係員が来て「今度声を出したら退場してもらいます」と勧告し、みんな興ざめした。

 コロナ感染拡大の予防で大声を出さないのは当然だ。しかし酒は飲まず、純粋に野球を楽しみに行ったのに、感情を抑え、反射的に出た声も注意される。ストレス発散どころか逆にストレスがたまってしまった。係員は悪くない。しかし、心から楽しめなかった。

 東京五輪が始まった。いよいよと書きたいが、始まってしまった、と書く方がしっくりとくる。盛り上がってはいけない、心からの歓迎はしにくい五輪。何とも切ない。ただ、テレビ観戦にはなるが時差に関係なく、多くの競技が楽しめるのは開催国ならでは。繊維・ファッション業界からも多くの選手が参加する。この東京五輪をきっかけに、世界を目指す子供たちがどっと増えることに期待したい。



この記事に関連する記事