《めてみみ》実習生帰国し危機感

2021/08/10 06:24 更新


 ある縫製工場から「外国人技能実習生がコロナ禍で帰国し、生産能力が半減してしまった」との切実な声を聞いた。もともと18人いた中国からの技能実習生が昨年、今年と帰国してしまい、6人にまで減ってしまったという。従業員60人のうちの約3分の1を占めていたので、大幅な戦力ダウンだ。

 地方の工場では日本の従業員の高齢化の進行とともに、若い日本人の採用・定着が難しいため、外国人の実習生に重要な工程を任せざるを得ないところも多いらしい。先ほどの工場は来年には実習生がゼロになると危機感を募らせる。

 昨年夏に本社が実施した縫製業へのアンケートでも、コロナ禍による実習生の帰国延長を強いられたのと同時に、東南アジアなどからの次の入国見通しが立たず、対応に苦慮していた工場が目立った。実習生問題に詳しい後輩記者に聞くと、「ベトナム人などが帰国を延長したことで、当面の生産能力は確保できているところが多いものの、帰国されて困っている工場があるなら再調査する必要があるだろう」という。

 海外から東京に多くの選手や関係者が集まり開催されたオリンピックの裏で、外国人技能実習生の受け入れができずに国内での服作りが困難な状況に陥った縫製工場が存在する。こうした時こそ国が救いの手を差し伸べるべきではないだろうか。



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