百貨店と駅ビルの従業員の中から多数の新型コロナウイルスの感染者が出た。百貨店、SCともに、昨年5月に策定した業界ガイドラインに基づき感染防止対策を強化してきた。だが、ウイルスの感染力には勝てなかった。
感染拡大が止まらないことから、より強い措置を国に求める声が感染症の専門家や知事から相次いでいる。8月9日の西村康稔経済再生担当大臣と緊急事態宣言が出されている6都府県の知事との会談では大型商業施設に対する休業要請を再び求める意見が出た。
休業要請は都道府県が独自に出すことも可能で、沖縄県は既に大型商業施設に対して土日・祝日の休業を要請した。今後の感染状況次第では広がる可能性がある。
3回目の緊急事態宣言発出を前に、日本百貨店協会と日本ショッピングセンター協会は行政に対して大型商業施設への休業要請対象からの除外を求めた。従業員から多数の感染者が出ていないことがその根拠の一つだった。大半が売り場が感染源ではないと見られるとはいえ、今回の多数の感染者発生で状況は変わった。
両協会ともに、休業要請を回避させたい意向。今回の事態を受け、会員企業に対してより強い感染防止対策を呼び掛けた。前回に多くの混乱を招いた休業要請を避け、商業施設の安心・安全性を高める上でも、従業員の健康管理の徹底や「3密」防止のための混雑緩和策の強化などが欠かせない。