急速に広がった高級食パン専門店に限らず、少しおしゃれなパン屋さんが増えた気がする。それも、個人が起業したと思える小ぶりな店だ。パン消費量が全国上位の関西だからかと思っていたら、最近訪れたいくつかの地方都市でも見かけた。
その地方都市の商店街や路地裏は、以前からシャッターが降りたままの店が多いところ。ある地元小売経営者は「事業承継の問題が大きい」と話していた。コロナ禍で、貸店舗や売り物件の貼り紙がさらに広がっている。そんな街並みで、こぎれいな新店は目に付いた。洋菓子の新店もあった。
新陳代謝が乏しく、残っていた〝古い店〟も少しずつ閉店していく商店街を見てきた。コインパーキングが点在する町や、マンションや一戸建ての並ぶ通りに変容したところもある。跡地利用が決まっているならまだ良いが、放置状態のままも多い。店がなければ、出かける目的も生まれない。
さびれつつある商店街や路地裏への新規出店は、地域住民や通勤客のテイクアウト需要と街の潜在力を期待してのことだろう。街のにぎわい再興への思いも強いと考えたい。厳しい出店環境が続くが、「行きたい」と思わせる新店が少しずつでも中心市街地に生まれることを願う。食物販から非食物販・飲食店へと新しい店揃えが広がれば、来街目的はさらに増えるのだが。