タイでは数年前から国・繊維産業を挙げて環境に配慮した素材の開発に取り組んできた。それを武器にグローバルスポーツ企業との関係をさらに深めたり、機能素材でメディカル分野に進出したりと切り口を広げている。
「欧米だけでなく、中国、東南アジアでも環境に配慮した素材や商材のニーズが高まってきた」と話すのは伊藤忠テキスタイルプロミネントアジア(IPA)の森田洋社長。「この1年で急速に引き合いが強くなった」と独自のエコ素材を強みに大手グローバル企業との取り組みを強めている。
IPAがベトナムで資本・業務提携するベトナム最大の繊維グループ、ビナテックスグループは「4R」に力を入れているそうだ。通常のリデュース、リユース、リサイクルに加え、「リスペクトレイバー」を掲げ、従業員を大事にする姿勢を打ち出す。リサイクルでは再生ポリエステルなど再生原料の使用を全体の2割に高めるという。当然両社の協業はさらに深まるに違いない。
日本でも「以前のいいね、だけでなく、環境配慮型素材の採用が進んできた」とよく聞く。一方で「日本の消費者の意識はまだそれほど高くない。環境よりも価格重視」と二の足を踏む企業も多い。世界の動きはスピードを増し、力強い。その潮流から取り残され、〝ガラパゴス化〟しなければ良いのだが。