《めてみみ》大胆な財政出動

2021/10/07 06:24 更新


 新内閣が10月4日発足し、繊維・ファッション、流通業界を所管する経済産業省の大臣に萩生田光一氏が就任した。記者会見では、岸田文雄首相の方針に沿って「既成概念を打ち破る大胆な財政出動と投資をする」と述べた。

 「数十兆円規模」とされる今年度補正予算の経産省での使途は明らかにしなかったが、重点課題には中小企業・小規模事業者の事業再構築支援など「コロナ禍で傷んだ経済の再生」を真っ先に挙げた。

 経産省はコロナ禍で業績が悪化した事業者を対象に、「持続化給付金」「家賃支援給付金」で約6兆4000億円、1兆円を超える「一時支援金」「月次支援金」を支給、「前例のない規模の支援」(梶山弘志前経産相)を行ってきた。給付金で不正受給が多発するなど問題はあったが、多くのファッションビジネス企業が利用した。財源に不安要素はあるが、「大胆な財政出動」が業界に役立つことを期待したい。

 重要なのは支援策が十分かつ公平で、わかりやすく、迅速に支給されること。4月25日以降の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置対象地域で休業・時短営業要請に応じた大型商業施設・出店者向けの「大規模施設等協力金」は支給額が不十分な上、制度設計のあいまいさと説明不足が要因で大きな混乱を招き、不満が噴出した。同じ轍(てつ)を踏んではならない。



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