フランスで2月に公布された「廃棄対策・循環型経済に関する法律」がブランドビジネスを大きく変えようとしている。売れ残りの商品や在庫の廃棄が禁止されたからだ。この法律により、在庫となった商品は寄付するか、リサイクルが義務づけられた。
あるフランスブランドのジャパン社によれば、在庫をアウトレットで販売することはできる。しかし、アウトレットで売れ残った商品の行き場がなくなるという。これらの商品は寄付、またはお金を払ってリサイクル業者にリサイクルを依頼することになる。このため、リサイクル業者がビジネスの循環の中でフォーカスされている。
日本にアウトレットモールが登場したのは90年代。今では全国に30を超える大型アウトレットモールがある。観光地化したアウトレットモールの商品供給のため、在庫以外にアウトレット向けの商品開発もされるようになった。在庫の「出口」だったアウトレットが新たな販路、販売拠点となり新たな在庫を生む。そんなパラドックスのような状況を生み出した。
ビジネスサイクルの中で脚光を浴びるリサイクル業者についても懸念がある。先日の熱海の土石流の原因とも言われる不法投棄問題がリサイクル事業に重くのしかかる。あらゆるところで〝もうけたい〟という欲望と倫理が激しくぶつかっている。