緊急事態宣言解除に伴う入店客の増加で、大手百貨店の売上高が上向いている。10月はラグジュアリーブランドや時計・宝飾品、デザイナーブランドなど高額品だけでなく、ほぼ全ての分野で前年実績を上回った。引き続き11月は三越伊勢丹が10.5%増、高島屋が5.9%増、大丸松坂屋百貨店が12%増で推移中だ。
特に婦人服の動きが良い。伊勢丹新宿本店の2ケタ増のほか、高島屋や大丸松坂屋百貨店などで婦人服が前年を上回った。コートやドレスなどハレの需要に応えるアイテムが動いている。「外出予定に合わせて洋服を購入するお客様が増えた」(三越伊勢丹)、「食事会や発表会、お受験といったモチベーション需要が上向いた」(高島屋)。
外出機会の増加が衣料品の購入に結び付き、店頭の活気が戻ってきた。冬の最重要アイテムのコートは初速から動きが良い。西武池袋本店は10月に試着センターを開設し、期間を前年より2週間延長した。「ネットでの購入でなく、実際に試着したいお客様の要望が強かった」(同店)という。
19年に消費増税、20年はコロナ禍の機会損失で3年ぶりにコートを買う顧客が少なくない。各店で11月第3週末から、コートなど実需品の販促策が一斉にスタートした。プロパー需要のピークを迎え、取引先と連携して一気に浮上を狙う。