百貨店など大型商業施設の空床対策として期間限定店の導入がコロナ下で加速している。だが、大手企業がプロモーション目的で出店するのは別として、中小の事業者が出店するのは難しくなっているようだ。新興ブランドに聞くと、「有能な販売員を確保するのが大きな課題」という。
百貨店での決済が集中レジから各店レジに変わり、現金やクレジットカードでの支払いはもちろん、ポイントカードや優待券、駐車券、スマートフォンでのキャッシュレス決済への対応など複雑な決済を身につけるのは非常に困難らしい。顧客側も百貨店の接客サービスに対しての期待から求める水準が高いため、現場で対処しきれないことも多いという。
こうした状況はコスト削減の大命題の下、百貨店のリストラが進み、販売現場の人材が減らされていることも大きな要因だろう。以前のように期間限定店のスタッフをフォローする体制もとれなくなってきている。同様の流れから、雑貨・洋品などの単品平場も自社運営からメーカー任せ(口座一本化)に移行してきた。
このままでは単なる〝場所貸し業〟になってしまい、売り場の魅力も失われてしまうのではないか。期間限定店を穴埋め的な役割でなく、次代の新しいスターを発掘・育成するインキュベーションスペースとして位置付けてほしい。